なんてことない日記 知らない人
大手町で仕事のあと、取引先の人とお昼を食べた。ごちそうになってしまったのでお茶は私が、とタリーズでコーヒーを買ったら隣の席に座っているマダムが「ごめんなさいねぇ、こんなにスーツケースいっぱい置いて」と頭を下げる。
大丈夫ですよ、もっと広く使ってくださいとスーツケースをこっちに寄せたりしていたら
「さっき大阪から着いてね。東京は都会やねぇ。やっとここまで辿り着きました」と話を続けたそうにしていたけど、いっしょにいた人は早くこっちで話をしたいという雰囲気だったので、ゆるっと二人の会話に移行した。
席を立つとき、ちらっと見たら、「これ、孫です」とリクルートスーツを着た女の子を紹介してくれる。
ちいかわのクリアファイルが机に置いてあったのはこの子のだったんだな。
これから面接なんです、ええっそうなんだー、きっと大丈夫、がんばって!みたいに言って手を振った。
その前の夜、私のミスでメルカリの相手から苦情のメッセージが入った。
5、6通、立て続けに通知が来る。「お客をなんだと思っているんですか」と書いていた。
自分の住所や名前、電話番号を教えて着払いで返送してもらわないといけないことが怖くて、けっこう落ち込んでた。
知らない人。一生すれ違いもしないような人だ、これからもそうだと思う。
淡々と手続きをして、なんかあったらそのときだ、と思って、こういうときにどうしても肥大しようとする「自分があほだから」という思考を「はいはい、ちがうよー」と切り返す。
一瞬すれ違うだけの人とも、余韻が残る交流だってできるんだし。
おととい取材した介護のスタートアップの社長さんとは、どうやったらこのサービスが広まるか、っていう作戦会議みたいな取材になった。「発売になったら雑誌たくさん買います!」と言ってくれて、ときどき感じる「取材させてもらうときの薄暗い気持ち」みたいなのが吹き飛ぶ。「この人のやってることが軌道にのっていきますように」とゆるっと応援するような気持ちで書きたいと思う。どうしてもそういう気持ちになれなかった仕事を削ってきたから、こんな気持ちの大事さに気づいたんだろう。
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