北欧シリーズ
アンデシュ・ルースルンドとベリエ・ヘルストレムのシリーズを寝る前に読んでいる。 「制裁」、「ボックス21」、「死刑囚」。
「制裁」では極刑がないことへの疑念、「ボックス21」では東欧の売春問題、「死刑囚」では極刑がある米国の死刑制度の政治利用が描かれる。 3作の中で「ボックス21」が一番苦しく、引きずられている。
「罪悪感は、他人になにかをしてしまったときに抱くものだ。自分に対してなにかをしてしまったとき、人は恥の意識を抱く。罪悪感には耐えられる。恥は耐えがたい」――「ボックス21」の554p
「それって、人間?」「そうだよ。人間だ。普通の人間だよ」「じゃあ、その人たちはだれが殺すの?」「その人たちは殺されないんだ」「でも、その人たち、人を殺すって決めるんでしょ。そしたら、人と殺すのと同じことだよ。人を殺したら、殺されることになってるんだよね。だれがその人たちを殺すの? よくわかんないよ、パパ」――「死刑囚」の458p
その続き、「地下道の少女」を先週読み終えた。
凍てつくストックホルム。地上は氷と雪。
氷点下から逃れられる地下には汚れを纏うことで安心する少女が暮らしている。荷物のようにバスに詰め込まれ捨てられる子どもたち。どれも本当に存在すること。
読みながら一度として深呼吸できるタイミングがなかった。公の資料がないため、著者が実際に調査したことをもとに書かれているのだという。
冒頭の16歳、ミカエラの言葉(青少年厚生施設に住む)を読み返す。
「いちばんつらいのは、家を離れていることじゃない。
だれにも探されていないこと」
眠る場所のない少女ヤニケと精神疾患を抱えて行き場をなくしたレオとの繋がりだけが、悲しくもぬくもりを感じさせてくれるものだった。
地上に暮らしていても絶望を抱えていく刑事エーヴェルトのこの先を読まなくてはならない。苦しい・・・でも読む・・・
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