喜びについて

2025/11/07
2025.11.07
誰でも

ムエタイをはじめて1カ月。

きのう「そろそろキックボクシングやってみますか」と会長に言われてはじめてジムでパンチングボールを使ってパンチをしてみた。

真ん中に当てると気持ちいい音を立ててブオンと戻ってくる。真ん中に当たらないと、ぐるぐる不規則にあっちこっちに跳ねる。会長は身軽にトントントントンと繰り返す。私は、右往左往。難しい。

お試しのつもりだったのでバンデージも巻かないまま、なんとか当てようと10分ぐらい打ちつつけて、ひと息ついたら両手が痛い。左右、中指から小指にかけての手の甲が内出血して青くふくらんでいた。「俺なんかは何殴ってもなんともならないけど、やりなれてないとこうなる」と湿布を貼ってもらった。

帰り道、腫れた手を冷たい風に当てながら、じわじわとうれしかった。このうれしさは、刺激を受けたときの「快」ではなく、子どもがあたらしい遊びを知ったときのようなお腹の底の喜びかなと思う。快は直線的だけど必ず飽きるときが来る。飽きたくないな。私が、いつもぐるぐる回り続けて、あたらしい側面をさらせばいいのか。まんべんなくさらして、打たれて、剥がれて、変わり続ける。再現されることのない喜びが偶然やってきたらそっと噛みしめる。  

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