ブローチ3つ

2024/07/31 博多に行ってきた
2024.07.31
誰でも

2泊3日で博多出張に行ってきた。

企業の仕事で、朝から昼までと、昼過ぎから夕方まで、各3~5時間、動画撮影しながらのインタビュー。9月まで、合計9人の方々に会いに、あちこち出かけていく。

私の仕事は現場のディレクションと、聞き手になることと、記事にまとめること。

今日は1人めと2人めの原稿を書いているんだけどモーレツに眠いのでこうしてここに書きに来ました。

現場には動画カメラマンさんとクライアントが立ち会う。

先週の1本目は、すごーーくくたびれた。自分では、息抜きになるかなと思っていたけど、甘かった。やっぱり未知の仕事には気を張るんだろう。

カメラマンさんとクライアントの女性はちょうど長女と次女と同い年。若いー。

小倉までのタクシーで運転手さんに「このへんでおいしいものって何ですか」と聞くと、「ええ、なんだろうな。なにが食べたいの?」と言われ、さっと食べられるものでいいんですけどね、と言うと、特にないよ、まあ値段は博多より安いけどね、みたいな話だったのにふと運転手さんが「資(すけ)さんうどん」を思い出したみたいで「こっちきたら、絶対食べないといかん!柔らかい麺で、ゴボウ天もうまい!私は讃岐うどんみたいな硬いの食べたら翌日までなんも食べられんけど資さんうどんはおいしい」とまくし立てる。おじちゃんかわいいな。それで、小倉のアーケードでおろしてもらってお店に入った。柔らかくて甘いおだしで、木の棒みたいなごぼ天がドスドスのってる。小さいころ、風邪ひいて休んだ日にお母さんがスーパーのゆでうどんの袋をぴりっと破ってざっと作ってくれたうどんを思い出した。

目の前では、同世代のカメラマンさんがクライアントさんに「俳優さんの○○に似てる。イケメンですね」と褒められ、カメラマンさんはクライアントさんに「弟がいるでしょ?長女っぽいですね」「ええ、そんなふうに見えますかー」ときゃいきゃいやってる。中年の私はうどんをずずっと一番最初に食べ終えて、若い二人をうっすら微笑み眺める。

博多に戻り、いったんホテルに戻って資料整理をして次の場所へ。猛暑で、Googleマップをぐるぐる回して、「またこの駐車場に戻ってきた……仕切り直しや……」と呆然としながら30分くらい歩いてたどりついた。ちょっと意識が飛びつつも、インタビューを終えて片付けタイムになったらカメラマンさんが「ちょっと作戦タイムいいですか?」。どうやら、相手が答えるはずのものを私が誘導して話してしまっていたらしい。彼が気づいたのであらためて相手に話しなおしてもらったけれど、今後は気を付けてほしい、と。なるほど動画だもんなー、動画で、話しているところを撮っているんだもんなー、意識とんでたなーと思いつつ、「作戦タイムいいですか?」なんて切り出してくれるその優しさ、配慮に落ち込む。情けなしだけど仕方ない。私だったらそんな言葉を使えないかも。

今回の取引先は広島の企業で、ご縁がめぐってこの仕事をすることになったけど、「プロだから」とお任せくださっているのか、どういうものを求めているのかも手探りで、「まず形にしてもらってから考える」と言われている。そういう人に「こんなんどうですか?」と提案するのは好きだったりするんだけど、やっぱり現実が押し迫ってくるとひるむ。いつもの記事とは違う。7割で出して、考えてもらって、形を整えていけばいいんだろうなと深呼吸すると、気持ちにちょっと空きスペースが出来てきた。

このブローチは、カフェに置いてあった「れもん徳島アートスタジオ」の作品。ひとめぼれして、それが故郷徳島の作品だなんていったら買うしかないでしょと思って、3姉妹のお土産にした。こぐまに「はい、お土産」というと「わー、野球ねこだ!」。あれ、クマだと思ってたんだけど、まあいいか。

仕事が終わって、2人とお別れして、博多駅の店のカウンターで牛タン定食をぱぱっと食べた。靴擦れした足が痛いし、リュックは重たいし、早起きだったからクタクタだ。でも、あの箱みたいな狭いビジネスホテルに帰る前に人のいないところに行きたいと思って、川方向に歩いた。生暖かい夕方の風が吹いていて、観光客の家族連れとすれ違う。後ろから、子どもを乗っけたお母さんの自転車がさあーっと追い抜いていった。

JR鹿児島本線に乗ったときも思ったけど、北九州は人がいっぱい住んでいると思った。観光客だけでなく。そしておじさんもおばちゃんもなんか人なつっこい。

書いてたら眠気が吹き飛んだ。お付き合いいただきありがとうございました。

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