なんてことない日記 笑うこと

2024/02/02 夜中のベール
mimi 2024.02.02
誰でも

今進んでいる案件では、クライアント、広報、編集、制作会社、いろんな役割の人とのやりとりが積み重なる。32個も並んだら、あの話はどこにあったっけ、って探しても見つかりにくくなる。いちいち宛先を選んで件名を打ち込むのが面倒なんだろう。自分とは関係ないことでも勝手に揺り動かされて、気持ちが削られたりするから、スマホの通知音はオフにしている。一人ひとり、ただただ、仕事をしているだけなのに、慌ただしいメールの羅列に心が沈む。

大事なことが話し合われず伝えられてなくて、ええ?という出来事があった。

他者として見るとわかる。にこにこ、柔らかな印象のその人に「黙って従わないで、ひとことでもそれはおかしい、とか、どうしてそうなったんですか?と経緯を聞いたほうがいい。なし崩しになることが当たり前になってしまうから」と伝える。

自分だって咄嗟に言えるだろうか。伝えながら、自分もこれからは絶対に言おう、と、お腹の底が熱くなる。

友達が相方さんに言っていると教えてくれた「焦らないで一呼吸おいて、自分のリズムを少しスローにするだけで、そのあとの良い調子を継続できるから」という言葉を思い出す。

その人の体のリズムも、無理しがちな性質もそばで理解しているひとの言葉を

そのまま受け取ることができたら、言葉は確かなお薬として作用するのだろう。

友達が私に言ってくれた。「私たちは経験を積んできた。それを活かすのはここから。

だからちゃんと自分を守ったり大事にすることを蔑ろしてはいけない」。

夜中に目が覚めたとき、その言葉が柔らかいベールになってくれる。

頭の中ではWordの画面とコメントが続いて、あのブロックをこっちで入れ替えて……とかの作業を延々とやっていたとしても、そのベールの感触があるから「おっと、思考はからっぽに」と思い出せるし、「どうせいつか眠れる」と諦められる。

この間お話を聞いた医師は、「医者の敵は医者」と言った。

ガイドラインにこう書いているからと、検査が必要な患者さんに検査を受けさせない。ガイドラインなんて「地球の歩き方」みたいなもんですよ? なにも知らない人が参考にするもの。病理のファンダメンタルを捉えなくてどうするんだってんだ。あの医者が薦めてる検査なんて受けなくていいと妨害する。直接攻撃してきたりもする。

「オフレコだけどね」と私のレコーダーに向かって言う。

私も「聞いてませんよー」とレコーダーに向かって言って互いににやっとする。

医者の世界は、地位が高くなったら、自分の地位を守ることだけが重要事項となり、新しいことをする医者は敵になるんだ。

もし、消防士協会っていうのがあったとして、その消防士たちに大事なのは地位じゃないでしょう?火を消す事だよね? 

患者の病を見つける、治療することを目指して医者になったはずなのに。

でも、私は戦いますよ。

「先生、私、いろいろ調べて、自分がこの病気になったら、果たして戦えるのか、難しいだろうなと思いました」というと「私だって、自分が患者になったらどうなるかわからないよー」と、へしょんとした顔になった。

先生の顔写真とってあげます、とスマホを向けたらウインクしたりして、結局とれたのを見返すと、爆笑写真だけだった。使えないじゃん。夜の静まりかえった医局で、紙コップに、胸焼けしそうな濃いネスカフェを入れてくれた先生。

笑うって優しい行為だなぁと思った。

このあいだ、気持ちが沈んだときに「笑いたい」と思って、笑い合うことができる友達の顔がすぐに浮かんだ。そしたら意外なことに仕事で笑い合えることになった。

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